夜の子①
コロナ禍で飲みに行く機会が激減したせいかおかげか、去年の秋口から始めたソシャゲがある。
そのゲームではプレーヤーどうしのチャット機能が備わっていて、チャットを通じて同じギルト(プレーヤーが集まるチームのようなもの)のメンバーで仲良くなった人がいた。
アキラと名乗る彼は同く仙台に住むの現役高校生で、私の話を面白がって色々聞いてくれた。
一方で高校生らしい悩みも色々あったようで、自分がある女子生徒に告白したことをきっかけに、その生徒が不登校がちになってしまったと話をしてくれたことがあった。
コトの経緯は、女子仲良しグループ内のA子とB美。
アキラとA子は中学から交友があり、アキラはA子のことが好きだったそうだ。
アキラは自分で言うのもとは言いながらも、スポーツ万能で明るく、友人も多いスクールカースト的にはトップグループの一員だったそうで。
一方、A子とB美も女子グループの中でもオシャレ、運動部、陽キャラ、あるいは彼氏持ち などで構成されるトップグループに所属しており、A子はB美から「アキラのことが好きだ」という話を聞いていたそうだ。(その女子グループ内では周知の事実)
そんなことなど全く知らず、アキラはA子に告白を決行、そして撃沈。
理由について聞いてもその時は教えてもらえず、後々「B美を応援する立場だったから告白は受けられなかった」と知ることとなった。
A子はその一件のせいか仲良しグループを離脱。格下グループに移籍するでもなく、むしろ女子全体からハブられるような形になり(裏切者と呼ばれていた)、とうとう学校にくることもなくなっていったそうだ。
そのことで「僕はどうすればよかったんたんだろ。サブちゃんならどうする?」と意見を求められたことがあった。
※"サブちゃん"は私のゲーム中のプレーヤー名
アキラにA子のことをまだ好きか聞いたところ、アキラは「分からない」と答えた。
A子がハブられるようになってから、A子や周囲に対して何かしたのか聞いたところ「何もしていない」と彼は答えた。
「そんな半端な気持ちだったなら告白なんかしなければよかったんじゃないか」
と私は伝えた。
告白というのは、それまでの関係性を終わらせる行為だ。
当事者間だけの問題ではない。
周囲にいる者にも今後の関係性を明らかし、自分だけではなく相手の環境を変える。
結果がどうあろうが、それでも尚、好きな人を守るような行動をとれないのならば。
ただ一度の拒絶で心の火が消えてしまう程度のものならば、告白などしない方がよい。
そうしたことをチャットで彼に言った。
ゲーム上ではそうですよね、と短い返信があっただけでその時、彼がどう思ったかは分からない。
だが、後日「直接会えない?」と連絡が入ったので何か思うところはあったのだろう。
こうしておっさんは男子高校生と夜会をすることになった。