昔話
小学校の頃、秘密基地をつくるのが流行りであった。
最初は家の近くに作るものの、見つかっては「邪魔だから」「危ないから」と父や祖父に破壊され、
もう少し離れた河原に→破壊→もっと離れた畑近くに→近所のおっさんに破壊…
とスクラップビルドを繰り返すうちにたどり着いたのは山。
とはいえ、草木が生い茂る場所は雨が降ればびちゃびちゃになるし、虫も出るし…で最終的にたどり着いたのが山の神様?のちょっとした御社、祠のところだった。そこは整地されて草木ももじゃもじゃではなかった。
何を思ったか私とその悪友は四畳ほどのサイズの御社を増築するような形で、勝手に木やお風呂マットのゴミ、ビールケースなどを持ってきて継ぎ足し御社兼秘密基地のような形にしてしまった。
そこで済めばよかった。
――いや、もう手遅れだったのかもしれない。
当時、仏像にはまっていて、新聞の仏像ページを切り抜きして仏像帳を作っていた私は御社の中にも何かかっこいい仏像がいるのではと思い…仲間がまだ基地に到着していない時にこっそり中を見たのであった。
閂(かんぬき)錠のようなものがあったものの、何故か子どもの手でも外れる仕様でありちょちょいのちょいーでぱかーんしたら、期待の仏像はなく字を掘った石?があるだけだった。
触ったりなんだりしたかは覚えていないが、その晩から謎の高熱に苛まれた。
何でも高熱のせいで脳炎のような状態になっていたそうで、夜中に一人で冷蔵庫を開けたり締めたりを繰り返したり、むくりと起き上がって存在しない誰かとペラペラ笑いながら話し始め、親が「どうした?」と聞いたらパタと寝たり…
とりあえず薄気味悪い状態だったらしい。
で、病院に行き薬ももらって数日して解熱後、御社秘密基地のことが友達経由で親に伝わったようで、親もバチが当たったんじゃないかと私を連れて同地区の寺に連行。
ちなみに、そこの寺の息子は同級生。当時はあまり仲良くなかったものの、気付けば今でも親交のある友人。
その寺の爺さん(今は死んでいる)はなんでも意識がなくなるような修行を過去に何度もしているらしく、祟りや霊障の類が"分かる"人だった。
その爺さんに見てもらうや「何触った!!」と大激怒。
泣きながら御社勝手に開けて…を正直に話したら親父にも殴られ。あれは痛かった。
最終的には、うちの家族、悪友3人とその親、寺の爺さん、親父さん、土地(御社)の管理人?、地区の寺の神主さん…他にも誰かいた
かなりの大所帯でその御社のところにいき何か"ごめんなさい"の儀式的なことをした。
小学校でも祟られた少年として悪い意味で話題になり、もののけ姫が流行った時には祟りをもらった男として「アシタカ」のあだ名も拝名するにいたった。
(あまり書くと身バレするかもしれないので控えておく)
とにもかくも、そんなことがあったので以後、秘密基地は一切作っていないし神仏的なものは信じていたりする。
…
そんな過去を踏まえ、現在の話に戻る。
先日の連休はそんな黒歴史のある地元に戻り、例の寺の息子と悪友のうちの1人の計3人で飲むことがあった。
我が家で泊まりで飲んだ翌日、皆で銭湯に行きその後、寺息子を寺まで送っていったのだが、そこで久しぶりに会った親父さんから言われたのが
「〇くん、また何か触った?」
全く無自覚すぎて何を言っているか理解できないでいたら、昔のように祟り的なものの気があるとのこと。
アレに懲りて本当に何にもしていないので、正直に話したのだが、寺の親父さん曰く、「前の山の神様的な奴よりももっとヤバい感じので…だけども悪い影響は発現していない」らしい。
寺息子は修行していないので全く分からなく「ぬーべーの鬼の手みたいだな」と呑気に言っていた。
念のため、昔やらかした山の神様のところに寺息子・寺親父・私のパーティーで行ってお参りし、寺でお祓い的なこともしてもらった。
それでも、私から溢れ出るヤバい奴は全く消えないとのこと。
で、この辺の神社仏閣でどうにかできるレベルじゃないし、実害もないのでとりあえず放っておけと帰された。
…
いや、気になるわっ!!
死ぬの?私!?何に憑かれたの!?!?
シャワーの時とか目つぶれないんですけど!!
夜トイレ行くとき家中の電気付けないと行けないんですけど!!
オリンピックをテレビで流しながら寝たいけど、夜ふと目覚めてテレビ見たら何かがテレビから…なんてことあったら嫌だし。
ふぇーん!誰かたしけてよー!!
こわいよー!
…怖いから俺、寝る。(次元大介風に)